
スウェーデンは労働者の権利が強く守られている国の一つだと思います。
私の彼はスウェーデンの会社に長く勤め、私自身は日本で7年間OLをやっていました。
今回は私と彼の職場環境を比べつつ、私が驚いた数々のスウェーデン企業の文化や制度をご紹介していきます!
もくじ
働き方の違い
スウェーデンと日本ではそもそもの仕事に対する考え方が全く違うと思います。
スウェーデン企業を理解するために、まずはスウェーデン社会の考え方・働き方をご紹介します。
仕事よりも家族優先
大前提としてスウェーデン人は仕事よりも家庭を優先します。家族と過ごすのが自分の”幸せ”だと考えているからです。
その自分や家族の幸せが一番で、それを維持する手段が仕事という考え方を多くのスウェーデン人が持っています。
なのでほとんどの人が5時になれば子供のお迎えや家族との食事のために帰宅します。残業や転勤も断ることができます。(転勤をさせるには本人の同意が必要です。)また断ったところで会社での立場が悪くなるわけでも、キャリアに響くわけでもありません。
社会全体がそういう意識のものに成り立っているなぁと感じます。
自由なキャリアアップ
働き方の自由度が高いもの特徴です。一度社会人になってからもう一度大学で勉強をする人もいます。卒業後海外に数年いてから、仕事をしにスウェーデンに戻ってくる人もいます。会社員と大学を両方50%ずつでやっている人もいて、日本に比べると本当に様々です。
さらに転職してキャリアアップしていくことが一般的なので、終身雇用という考え方はありません。ただこれは人によるので、1~3年で転職を繰り返す人もいれば、10年以上同じ会社に勤めている人もいます。
すごいのはこれらどの場合であってもキャリアとして良い悪いはありません。日本だったら、履歴書の空白の期間何をしていたのか突っ込まれ絶対マイナスの印象になりますよね。。
稼いで45歳くらいでリタイアを選択する人もいます。それを目指している人もいっぱいます(笑)
何歳からでもやり直しができる
「やっぱり別の職種にしたい」と思ったら何歳からでもキャリアチェンジが出来ます。
大学や専門学校で学んだことで職業が決まるスウェーデンですが、もしも職業をチェンジしたい場合、またその専門を学び直せば何歳でも新しい職にチャレンジできます。(ただ実際にはまったくの新人であれば40歳くらいまでが限度な感じはしますが・・)
ちなみにスウェーデンは大学であっても、何歳であっても学費は無料です。
なお同じ職種の転職であれば、45歳くらいでもざらです。
逆に日本の女子アナのように若くて美人だから有利ということはありません。採用時には年齢・容姿ではなく(年齢や容姿で判断するのは禁止)、キャリアで判断します。アナウンサーになりたければ一生懸命アナウンサーとしてのキャリアを積み上げるしかありません。
新人一括採用・終身雇用が一般的な日本とは構造が大きく違います。
女も働くのが当たり前
女性の就業率が80%を超えるスウェーデンでは、男性も女性も同様に仕事をするのが当たり前です。同時に育児も男性と女性が同様に行うのが当たり前となっています。
「仕事は男の仕事、家事は女の仕事」という考え方はありません。(というより男女平等精神からタブー視されているようにも感じます。)主婦に社会的地位はない!と言っても過言ではありません。
だからこそ、社会全体が共働き前提の作りになっており、育児休暇の制度も機能しているのだと思います。
そのためスウェーデンの女性は男性に金銭的に依存することはありません。少し話は逸れますが、スウェーデンの離婚率が日本より高い一因ではないでしょうか。
企業文化の違い
スウェーデンの会社の独特な企業ルールをご紹介します。
毎日コーヒー休憩(フィーカ)がある
午前中(10時半)と午後(15時)にフィーカ(Fika)と呼ばれるコーヒー休憩があります。しかも、強制的に休憩をとらなければいけないのが凄いところです。
そしてこのフィーカ休憩が同僚・上司・部下とのコミュニケーションの場になっています。
そんなことしてて業績は大丈夫なのかと日本企業で働いていた私は思いましたが、どうやらスウェーデンの労働生産性は高い模様・・!
労働生産性で比較すると日本は36か国中2位なのに対し、スウェーデンはなんと14位(2017年)!ちなみにトップはアイルランド。フィーカが企業にとってマイナスとは言えないようです。
なお友人の会社では、フィーカで食べるお菓子は当番制で持ってくることになっているそうです。週に1度の当番が面倒だと言っていました~(笑)
17時には誰もいない
スウェーデン人が一日の業務を終え退社するのは16時頃からピークになります。17時にはオフィスに誰もいないこともしばしばだそうです。
彼の会社も16以降はミーティングを入れてはいけない決まりになっているとのこと。
なぜかというと、仕事のあとはプライベートの時間だからです。多くの人は子どものお迎えがあったり、ホームパーティに行ったり予定があるのでそっちが優先されます。
逆に朝は割と早く、7時頃から出社してきます。急なミーティングも朝に予定されることが多いです。
飲みにケーションは無し
職場の人との飲みにケーションは基本的にありません。皆家族と過ごしたりや自分の趣味をしたいのでさっさと家に帰ります。
ただ会社によりますが、親睦のイベントがある会社も多いです。
彼の会社は、会社全体でのパーティ・部署のメンバーとのボーリングなど、年に2回ほどほぼ強制参加のイベントがあります。
職場の人とFBでつながってはいけない
これは一般的じゃないと思いますが、彼の会社のルールで「同僚とFace Bookでつながるのは禁止」になっているそうです。(細かくチェックされるわけではないので、実際は繋がっている同僚もいるようですが。)
スウェーデン人は仕事とプライベートをしっかり分けるというスタンスなので、それを貫いているルールだと思います。
ちょっと驚きです。
会社制度の違い
習慣が違えば会社制度も違ってきます。私が日本とは違うと思った制度をいくつかご紹介します。
長期休暇が取れる
「夏はスウェーデンの経済が止まる」と、あるスウェーデン人が言っていました。それでもい~んです!
一般的なスウェーデン企業に勤めている人は年に3~6週間ほどの有給休暇を持っており、多くの人がそれを夏にまとめて取ります。現に私の彼も6週間の有給休暇のうち4週間を夏にまとめて取ったことがあります。
6~8月はオフィスに殆ど人がいなくなるので、夏の間だけのバイトを雇います。管理職だろうとお医者さんだろうと同様に休暇を取ります。(これはスウェーデンの社会問題ですが)夏の間はお医者さんが少ないので病院が上手く機能していません。出産を予定している方なんかは要注意・・・。
それでも皆休みを取りそれが普通になっている背景には、やはり家庭優先の精神が強いからだと思います。また夏にバカンス出来ることが一つの幸せになっています。
ちなみに有給の消化率の高いスウェーデンですが、仕事している日数は日本とさほど変わりません。日本は国民の休日が多いので、バラバラにはお休みをとっているようです。
仕事の割合を変更することができる
育児・勉強・やりたいことなどを理由に仕事の割合の変更を交渉することができます。例えば仕事と並行して大学に通いたいから仕事を50%でやらせてほしい。などです。
他にも、仕事を1年間お休みし、また同じポストに帰って来たりもできます。
これらはあくまで会社と個人の交渉ですが、個人が働きやすいよう多くの会社はサポートをしてくれます。
育児休暇制度
スウェーデンは育児休暇の制度が手厚いです。
具体的には、休暇中の給料の80%を国が補償します。80%は国の制度ですが、さらに会社が上乗せして90%・100%という会社もあります。
また、子供一人につき、父母それぞれ240日、両親で合計480日の育児休暇取得権利があります。これは子供が7歳になるまで有効です。夫婦間で譲渡が可能ですが、片方が少なくとも90日は取ることになります。
この充実した制度もさることながら、社会が育児休暇取得にとても理解があり、多くの人がこの権利をしっかりと利用します。
子供と一緒の時間を大切にしたいというスウェーデン人も多く、これが当たり前の権利です。
退職金や手当がない
終身雇用という考え方が無いスウェーデンでは、多くの人が転職を繰り返しキャリアアップしていきます。そのため継続年数で算出する退職金のような制度はスウェーデンではありません。
また〇〇手当も通常ありません。日本ではある家賃補助や扶養手当や通勤手当などなどはスウェーデンでは一般的ではなく、もらった給料の中から自分でやりくりするのが普通です。
まとめに
スウェーデンに来て本当のワークライフバランスはこれだったのかと目から鱗でした。日本で自分はつくづく言葉だけのワークライフバランスだったなと思います。
私自身は、自分も仕事をして彼にも家事に参加してもらうというスタンスをとっても気に入っています。実際主婦をするより、社会的に認められる場がある方が幸せなんじゃないかなと~思います。買いたいものも買えますし!
というわけで私にはスウェーデンの働き方が合っていると感じますし、同じように考える方がいたら、チャンスがあればぜひスウェーデン移住を決意してみてはどうでしょうか。