スウェーデンの国民小説「ミレニアム」の感想・ネタバレ

「ミレニアム」(Millennium)という小説をご存知でしょうか。

2005年に発行されたこの本は発行されるやスウェーデンで大人気となり、一躍ベストセラーとなりました。

今回はそんなスウェーデンの国民的小説、「ミレニアム」の第一部「ドラゴン・タトゥーの女」を読んだので感想を書いていきます。

ミレニアム(Millennium)とは

スウェーデンの作家スティーグ・ラーソンによる推理小説で、「ドラゴン・タトゥーの女」「火と戯れる女」「眠れる女と狂卓の騎士」の3部作から成っています。この第1部~3部はスウェーデンで映画化もされ、映画版でもヒットを納めています。

また2015年に、ダヴィド・ラーゲルクランツによる続編「蜘蛛の巣を払う女」が出版され、今後第5部・第6部の出版も予定されています。

著者は亡くなっている?!

事実は小説より奇なりという言葉がありますが、まさにこれがそうかもしれません。

「ミレニアム」はジャーナリストであったスティーグ・ラーソンがパートナーの女性エヴァ・ガブリエルソンと執筆した処女小説です。

2人は第2部までを書き終えた時点で出版社と連絡を取り契約、その時点で第5部までの構想があったといいます。しかしラーソンは第1部の発売も、シリーズの成功も見ることなく、2004年に心筋梗塞で急死することになります。その後2005年に出版されたこの作品は全世界で800万部を売り上げる大成功を収めています。

1~3部は原作者であるスティーグ・ラーソンの作品ですが、続編となる4~6部はダヴィド・ラーゲルクランツが手掛ける予定です。第6部は2019年に発売予定との情報もあり、まだまだ人気は健在のようです。

あらすじ・ネタバレ・感想

せっかく話題の本だったので、日本語版を読んでみました。ここでは「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」の感想を書いていきたいと思います。(※ネタバレに注意してください。)

まず一言でどんな本だったかといいうと、壮大なスケールの推理小説でした。沢山の伏線と個性的な登場人物たちは読むほうをぐいぐいと物語に引き込みます。

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主人公は2人、ミカエル・ブルムクヴィストとリズベット・サランデルという男女です。物語は2人の主人公の様子が交互に描かれ進んでゆきます。ミカエル・ブルムクヴィストは世の中の罪を暴く敏腕ジャーナリスト。リズベット・サランデルは類まれなる情報スキルを持ちながらも、幼少期の複雑な出自により感情表現に乏しく世間では精神異常者ということになっている。

ミカエル・ブルムクヴィストは雑誌『ミレニアム』の発行責任者兼共同経営者です。とある情報から、大物実業家ハンス=エリック・ヴェンネルストレムの不正を暴きながらも逆に名誉毀損で有罪判決を下され、そのことで『ミレニアム』から身を引くことになります。

その後ミカエルはなぜかヴァンゲル・グループ(少し衰えたが大企業)の前会長ヘンリック・ヴァンゲルから仕事の依頼を受けます。依頼内容はヴァンゲル家の家家族史の執筆族史の執筆です。当初気が乗らないミカエルでしたが、ハンス=エリック・ヴェンネルストレムの不正の証拠という報酬に依頼を受けることにしました。しかし家族史の執筆は表向きの仕事で、真の依頼は失踪したハリエット・ヴァンゲルを殺した人物を突き止めることでした。

ハリエット・ヴァンゲルの失踪は実に奇妙であった。丁度失踪の日、ヴァンゲル一家の住む唯一の橋で事故があり、島は人の出入りが出来ない密室状態であった。誰がどうやってハリエットを殺したか、死体はどうしたか、この物語の中心となる謎になります。

リズベット・サランデルはミルトン・セキュリティーのフリーの調査員として働き始める。始めその外見に信頼していなかった社長も、リズベットの情報収集能力を次第に高く評価するようになります。そしてヴァンゲル・グループの前会長ヘンリック・ヴァンゲルからの依頼を受け、ミカエル・ブルムクヴィストの調査を行ったことをきっかけにミカエルを知ることになります。

ミカエルは後にその自身の調査資料を見つけるが、その内容に世間へまだ公表していなかった情報が含まれていることを発見します。リズベット・サランデルはハッキングにより緻密な情報収集を行っていたのだ――――。ミカエルはその事実を知りながらリズベットに会いに行き、2人はハリエット・ヴァンゲル失踪の謎を2人で追うことになります。

ミカエルはジャーナリストとしての視点、リズベットはハッカーとしてのスキルで2人はそれぞれハリエット・ヴァンゲル失踪の秘密とその犯人に気づいてゆきます。誰もがすでに死んでいると思っていたハリエットは殺害されたのではく逃亡した可能性が浮上。そしてハリエットの失踪に深く関わる人物はヴァンゲル・グループ現会長のマルティン・ヴァンゲルでした――――。
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この辺りはもう物語の後半部分。ここまでくると続きが気になって仕方ありませんでした。事件の真相は、この登場人物たちの行く末は。気になって私自身も一気に読んでしまいました。

そして最後は色々なことにきっちり片が付きます。モヤっと感を残さず爽快に終われるところも私としては良かったポイントです。

スウェーデンの図書館でもレンタルできる

日本で読んでこなかったという方も、スウェーデンの図書館で日本語版をレンタルすることができます。かく言う私もスウェーデンでレンタルをした派です。

図書館なのでもちろん無料で借りることができます。本の在庫は図書館に備え付けられているパソコンで本の検索ができます。他の図書館にある場合は10krで最寄りの図書館へ取り寄せをすることも出来ますよ。

まとめに

この本には多くのスウェーデンゆかりのものが登場します。地名であればストックホルムやヘーデスタやスルッセン、他にも童話「名探偵カッレくん」やコーヒー文化など。スウェーデンに住んでいる著者だから描けた緻密なスウェーデンあるあるが満載です。あとは主人公たちの性生活に対する捉え方なんかも(笑)

まだまだ続編が続く予感の「ミレニアム」。スウェーデン人との話題作りにも読んでみてはいかがでしょうか。

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